上場株式の配当金の税金の取り扱いについて

上場株式配当について お金

ニーサ(少額投資非課税制度)が2014年から制定され、証券口座の開設者が増加してきています。
今年の改正では、ニーサに関して、年間投資額が100万円まで非課税が上限でしたが、120万円に引き上げになりました。
さらに、ジュニア版ニーサとして、子供の名義で年間投資額が80万円まで非課税という新しい制度もできました。
今回は、配当金と配当金に関わる課税の扱いについて、確認していきます。

所得について
まずは、所得と所得税の仕組みについて、確認します。
個人事業者が事業で儲けた利益は事業所得、サラリーマンの給料は給与所得、個人が居住用財産を売却した利益は譲渡所得になります。
これらの事業所得や給与所得や譲渡所得に対して、所得税が課せられます。
所得金額は、収入から必要経費を差し引いて計算されます。
所得税は、この所得金額により、算定されます。

 
配当所得について
配当所得とは、会社から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等に係る所得のことをいいます。
配当所得の金額は、配当金の収入額から、株式等を取得するために要した借入金の利子を控除して、計算します。

上場株式の配当所得の課税について
上場株式の配当金には、所得税と住民税が課せられ、非上場株式の配当金には、所得税が課せられます。
ここでは、上場株式の配当所得に関する課税について、確認していきます。
上場株式の配当所得の課税に関しては、総合課税、申告不要制度、申告分離課税制度の3つの方法があり、選択適用できます。

申告不要制度について
申告不要制度を適用すると、源泉徴収額(所得税15%(復興所得税を含むと15.315%)、住民税5%)のみで、課税が終了します。
例えば、配当金を720,000円受け取ると、所得税15%+住民税5%=20%の源泉税が差し引かれます。
したがって、720,000円×20%=144,000円の源泉税が差し引かれ、手取金額としては、720,000円-144,000円=576,000円になります。

 
申告分離課税制度について
申告分離課税制度を適用すると、上場株式の配当金に対して、所得税15%+住民税5%=20%の税率で、確定申告をすることができます。
なぜ、この制度は、上場株式の譲渡損失の金額(株の売却で損した金額)と損益通算できるようにするのが狙いです。
損益通算とは、ここでは、配当所得の金額と上場株式の譲渡損失を相殺することをいいます。
例えば、上場株式の配当所得が1,000,000円で、上場株式の譲渡損失が500,000円であるとします。
この場合、上場株式の配当所得の金額は、損益通算して、1,000,000円-500,000円=500,000円になります。
この損益通算により、所得の金額が抑えられ、所得税の負担を減らすことができます。
また、株式等を取得するために要した借入金の利子は、この申告分離課税制度を適用した場合に控除することができます。

確定申告不要の適用例について
配当金を受け取った場合、ケースにより、確定申告した方がいいかどうかが変わってきます。
例えば、奥さんが専業主婦の場合、所得金額の計算上、配偶者控除が38万円適用されます。
配偶者控除は、奥さんの所得金額が38万円以下の場合に適用することができます。
具体的にいうと、奥さんの配当収入の金額が76万円以下の場合は、奥さん自身は基礎控除38万円を差し引き、所得金額が38万円となります。
この場合、確定申告不要として、旦那さんの給与所得の配偶者控除を適用し、年末調整したほうがよいでしょう。

 
最近、日経平均の株価も上昇しており、個人投資家の投資が活発化している要因でもあるといわれています。
確定申告シーズンになってきていますが、株の投資をして、配当金を受け取っている場合は、税金の申告について、確認してみてください。